未経験エンジニアのSES企業での立ち振る舞い

みなさん、こんにちは!
現役エンジニアの”ます”です。

先日、こんなツイートをしましたところ、様々な意見が飛び交いました。

この記事を読んでいるあなたは未経験エンジニアでしょうか?
それとも、企業側に勤める営業さんでしょうか?

私はエンジニアでもあり、企業側の立場でもあります。

今回はツイートには書ききれない未経験エンジニアのSES企業での上手い立ち振る舞いについてお話できればと思います。

IT業界の3つの形態

まず初めに、IT業界での3つの形態について理解しておく必要があります。
それぞれどのような特色があるのか簡単に説明します。

自社開発企業

文字通り、自社でソフトウェアやアプリケーションを開発している企業のことを指します。

企画から実装、運用まですべてを自社で行っているといった企業です。
開発の段階では利益が生まれないため、大企業や安定している企業、競合が少ない領域での取り組みをしている企業などが多いです。

運用が上手く回ったり、パッケージが上手く売れて初めて利益になるため、ニーズがなかった場合に失敗のリスクもあることをご認識ください。
途中でプロジェクトが打ち切りになってしまうこともあります。

自社で完結しているため、未経験エンジニアが就職した場合は教育からOJT、段階を踏んだステップアップが約束されている可能性が高いでしょう。
しかし、中には即戦力として教育をスキップしてしまう会社もあるので気を付けてくださいね。

未経験のエンジニアの方はこの自社開発企業を目指す方が多いです
一方、自社開発企業を目指すライバルが多いのでハードルは高めになります。

採用の段階で、未経験者であってもオリジナルの成果物や運用実績、個人での業務実績などを求められることがあります。

また、100%で自社開発に注力できているかも確認してください。
多くの企業は受託開発やSESの運用形態を織り交ぜて会社を運営していることがあります

受託開発企業

受託開発企業は他社さんからの受注を元に開発を担当し、納品するといった形態の企業になります。

Web開発系やアプリ開発系などと、特定の分野に特化している企業が多いです。
業務の依頼がきて、開発して、納品または運用・保守までの業務を遂行して完了です。

契約1つ1つが売り上げとなっていくため、初回の見積もりが重要になります。
経験の厚い方がSE、マネジメントとしてクライアントと認識合わせを行うことがありますが、
非エンジニアが担当の場合、開発に無理な要求を受け入れてしまうこともあります。
いわゆる炎上案件と呼ばれるものはこういった仕組みで成り立ちます。

受託開発を主としている企業も幅広くありますが、安定している企業であれば社内での教育体制や段階別のステップアップも整っていることでしょう。
一方、ある程度力のある方は時折火消し要員として炎上中のプロジェクトにアサインすることになるかもしれません。

自社開発企業での記載同様に、他2つの形態を合わせての経営をしている企業もありますので、ご確認ください。

SES企業

今回、メインでご紹介するのがこのSES企業になります。
IT企業のうち、大半を占めるSESの形態ですが、概要を簡単にまとめると、プロジェクト単位で人材を派遣していく企業となります。

エンジニアさんを現場に派遣していくため、同じ現場に同じ会社の社員がいることが少ないです。
また、参画先のプロジェクト(よく案件と呼んでいます)はその時々により移り変わるため、事前にイメージが付き辛いです。

こういった面がネットで紹介され、SES企業は未経験者のエンジニアから敬遠されがちとなっています。
一方、企業側からすると未経験者の採用に他の形態よりもリスクが少ないのも事実です。

1人、1人を案件にアサインさせ、プロジェクトの完遂に限らず月額単価として派遣をする仕組みとなるため、リスク分散となります。
そのため、SES企業には未経験者歓迎の企業も多く存在し、未経験者がIT企業に参入する障壁が少ない形態ともいえるでしょう。

 

ここまで、IT企業の3つの形態をお話しましたが、
それぞれの経営目線とエンジニア目線のイメージはできましたでしょうか?

次にSES企業がどうしてIT企業の大半を占めているのかお話します。

SES企業と売り上げの関係

SES企業の経営の仕組みは3つの運営形態にて簡単にお話しました。
人材派遣としてリスク分散がされているため、企業側は安定した黒字となりやすいためです。

もう少し詳しくお話します。

SES企業は自社開発や受託開発と違い、自社内に作業スペースを持たないことが多いです。
いわゆる現場常駐のスタイルです。

IT化が進む中、様々な企業がエンジニアによる開発を必要としています。
一方、社内でIT部門やエンジニアを雇うまではいかない場合、外部に依頼していくことになります。

そういった際に現場(またはリモートもありますが)で作業ができるエンジニアを必要としているのです。

採用活動を必要としないエンジニアの需要が高いため、SES企業が抱えるエンジニアのスキルとマッチした案件にエンジニアを紹介します。

エンジニアは月額あたりいくら…と単価のやりとりを企業間で行うことが多く、その単価から対象のエンジニアに支払われる給与(会社負担額)を引いた分がSES企業の利益となります。

単価と給与の差をマージンといいますが、このマージンは企業によって違います。
また、単価は公開している企業もありますが、ほとんどが本人に知らされないでしょう。

SES企業にエンジニアとして入社すると担当の営業さんが割り当てられるかと思います。
営業さんは多くのエンジニアさんを抱え、しっかりと単価>給与となるように提案をしていかなくてはなりません。

IT業界未経験のエンジニアの場合、高単価の案件に紹介することが難しくなるため、営業さんもかなり気を遣いながら行っているというわけです。

SES企業が未経験者を採用するメリット

エンジニアさんを現場に派遣していく際、IT業界経験者であればスムーズに現場が決まり、単価も本人の給与以上の現場に決まることが多いです。

SES企業の特色上、受け入れ先の現場もその人の人柄や経歴をあまり理解せずに常駐してもらうため、IT業界での経験が長く、経験した現場の内容が具体的であるほどスキルと信頼があるとして判断されます。

よって、経験者は現場も選びやすくなり、圧倒的に有利です。

一方、未経験者の場合は初回の参画が厳しくなります。
特に、プロジェクトの進行に大きく関わる実装工程、いわゆるコーディングに携われる未経験者は多くはありません。

IT業界では5人でチームを組んでいたら、その5人それぞれが同時並行でタスクをこなして初めて次のタスクをこなせるようになるといった仕組みやスケジュールの場合があります。

その際に、自身の工数を見積もる制度の甘い未経験者や、報連相の仕方や質問方法、解決方法に慣れていない未経験者は敬遠されるのです。

相手も人なのでこればかりは仕方がないこととなります。

では、なぜSES企業は未経験者の採用を行うのでしょうか。
それは上記でも記載しているリスク分散の対象となり得るからです。

未経験者であっても入場できる案件が全くないわけではありません。
いきなり実装ではなく、テスター案件や事務的な案件、上流工程の案件など、実装工程におけるコーディング以外の工程への案件は数多く存在しています。

そういった現場に入場し、だんだんとスキルを積んでもらうことで、未経験者の現場単価が上がっていきます。すると、企業への利益も少しずつ増えていきます。

また、トラブルがあった場合も1人、1人違う案件に携わるため、大きな被害にはならないことがほとんどです。

そのため、数多く採用し、多くの現場稼働人数を抱えることで企業の売り上げを伸ばしていくといった経営がなされるのです。

SES企業が未経験者を多く採用する背景にはこういったことがあります。

IT業界は国が率先して助成金を出している業界でありますので、研修中の補助も手厚く、企業側は研修時に大きな金銭的負担を被らないでしょう。

この仕組みをどこまで理解しているかによって、未経験のエンジニアさんの入社してからのギャップに苦しむ方も多くみられます。

未経験エンジニアがSES企業に入社して感じるギャップ

プログラミングスクールや独学でプログラミングを学ばれる方が多くいらっしゃいます。

そういった方のほとんどは実装工程におけるプログラミングのコーディングをイメージされるため、認識に違いがあります。

開発の工程は以下に分けられます。

開発の工程

  1. 要件定義
  2. 基本設計
  3. 詳細設計
  4. 実装
  5. テスト
  6. 運用・保守

多くの方がイメージされるコーディングはこのうちの④実装のみです。

エンジニアとして現場に入場する際にこの実装工程は全体の3割前後。
それよりも少ないかもしれません。

Excelで設計書や図をいくつも作成し、
スクリーンショットやマウス操作でのテストを経てプロジェクトは進んでいきます。

多くの方はこのイメージとのギャップに苦しみ、挫折を感じ、中には退職されてしまう方もいらっしゃいます。

では、このギャップをなくすために注意して欲しいことを次に記載していきましょう。

未経験エンジニアがSES企業に就職するときに注意すること

独学でプログラミングを行うときはとにかく個人での開発となります。

ただ、現場では基本的にチーム開発で行われます。
報告・連絡・相談+質問を繰り返し、円滑に進めていく必要があります。

また、上記で開発の工程を説明しましたが、プログラミングだけがすべてではありません。

未経験エンジニアが就職する際には法人として働くという意識を持ち合わせてください。
また、就職するからには勉強ももちろん大事ですが、社会に貢献していく意識が必要になります。

給与に見合うだけの価値を生み出せるかです。
エンジニアさんからすれば現場に勉強しにいくことももちろん大事ですが、企業側の営業さんや案件先の現場で求められていることは未経験エンジニアの勉強ではありません。

もちろん、SES企業によっては全くの事務案件に振られることもございます。
ただ、その場合はご自身のスキルや経験、信頼度をもう一度見直してください。

  • 企業側の意図を汲んで発言ができていますでしょうか?
  • 入場したい案件に見合う信頼度がありますでしょうか?
  • 胸を張って活躍できる経験がございますでしょうか?

少し厳しい表現となってしまっているかもしれませんが、営業さんや現場の方も人間です。
ご自身の経験を優先させることももちろん大事ですが、正直過ぎず、相手の意図を汲んで調整いただけますと幸いです。

また、このコミュニケーションを心がけることであなたのやりたいことへの実現可能性がグッと上がりますので、どうか騙されたと思いながらコミュニケーションには気を付けていただけましたらと思います。

まとめ

長々とお話してきましたが、結局は信頼関係がとても重要になります。
IT業界であっても、その他の業界であっても大事かもしれませんが、小まめなコミュニケーションや些細な行動が信頼度を左右することがございます。

この記事を読んでくださった方が、少しでもより良いご自身のキャリアへとつなげてくださればと思います。

以上、最後までお読みいただきありがとうございました。

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